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2012年 初夏の北欧(Sweden・Denmark)
~sätergläntan(セテルグランタン) ショートコースに参加して~

2012年 6月14日(木)~7月5日(木)

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第2回 Näver ー helnäver och flätat(白樺の樹皮を使ったクラフト)

6月17日(日)〜21日(木)5日間コース。

いよいよ楽しみにしていた白樺のクラスが始まりました。
北欧の白樺のバスケットはあこがれの雑貨のひとつ。まるで革のように柔らかく、艶が出た白樺のバスケットを持ったお客様が Outside in にいらした事があり、使い続けるとこんな風になるんだ〜と感心した事があります。
その白樺バスケットがまさか自分で作れるとは。でも考えてみれば生活の中から生まれた工芸品。油分が多く含まれている皮は水に強く丈夫で、昔の人はこの白樺を靴にしたり、屋根に葺いたりしたそうです。

前日の夜8時からのミーティングと軽食に間に合うようセテルグランタンに到着、それぞれ部屋の鍵をもらい、荷物を解きました。
今回は食堂や受付があるメインの建物の二階。部屋の設備としてはベッド2台、引き出し付きのライティングデスク、チェスト、クローゼット、スタンドライト、洗面所があり、大きな窓がついた明るい部屋でした。シャワーは共同、夜22時から朝7時までは使ってはいけません。

*初日

朝食後、各ワークショップの先生のご紹介があり、それぞれの教室へ。今回はレインコートと長靴を持って来るようにという指示がメールで送られてきたので、森に入って実際に白樺の素材を取るの?とワクワクしていました。

講師は Karin Lundholms 先生。

生徒は9人。なんとこのうち4人が日本人でした! Kさんは留学経験のあるスウェーデン語を話せる方。Tさんは英語が堪能。心強い若い二人です。

午前中は講義。白樺には色々な種類がある事。使える白樺の種類の葉の形、先生の作品や本を見ながら色々な形のバスケット、キャニスター、コンテナなどが作れる事。昔の人が白樺をどのように加工して生活に使ったかなど。

半分もわからなかったと思いますが、先生の英語とKさんの通訳で助かりました。

昼食後はいよいよ実践です。まずはポットマット作りから。

編み込むのに適した白樺の皮を各々与えられ、表面のこけや白い皮を取りのぞき、平になるようヤスリをかけます。

道具はツールボックスに入って一式貸していただけました。

専用カッター台で同じ巾(2.5cmくらい)にカットしていきます。長さを同じにしたものを偶数用意し、中心に十字を作って縦横互い違いに編んでいきます。ひっくり返し、裏も同じように今度はカドから中心に向かって編み込んでいきます。(言葉で説明するのは難しい)

ここで初めてわかった事。

白樺の皮は、木の表の白い面ではなく内側を表として使い、必ずそれがうらおもて二重になるようにするのが決まり。そういえば、いままで見たバスケットもマットも必ず裏表一緒の素材でした。見ればわかる当たり前の事でしたがやってみないとわからない。その裏側の面が使い込んでいくにしたがって革のようになっていくのでした。

次は小さいバスケット。

途中まではポットマットと同じ。カドまで来たらそれぞれの辺の中心の二本を立ちあげて編んでいきます。希望の高さに達したらこんどは外側に折り、底へ向かって編んでいきます。長さが足りなくなったら下になる部分で新しい白樺を継ぎ足していきます。

大小2個のバスケットが出来上がりました。

*2日目

いよいよ長靴を履いて森に行き、先生が選んだ白樺を二本倒してもらい、節の無いところを自分の好きな長さでノコギリでカット。

外側の皮の下に、専用の細い金属の棒を差し込んでぐるっと一周させ、幹の中心をたたいて抜きます。これで筒状のキャニスターを作ります。

内側はその筒型にしたものを使い(はぎ目無しになる)、外側はぐるっと別の白樺を二重に巻き(計3重になります)、くさび形の切り込みを入れて留めます。

これに熱いお湯をかけて、中心にサイズに合った型(皮を剥いだあとの白樺の丸太を縦に割ったもの)をいれて、更にキチキチにするためにくさびを打ち込み乾燥させると接着剤を使わなくてもくっつきます。蓋や底は乾燥を待ってから。

抜いた丸太は乾燥させて木工クラスが使うので、捨てる事はありません。またキャニスターに出来ない木の細い部分は螺旋に切れ目を入れて剥がしていき、長いヒモ状のものを作っておきます。これは熱湯で茹でると皮のように柔らかくなります。

*3日目

また森に行き、今度は生えている白樺にタテに切れ目を入れ、ぐるっと剥がし、白樺のシートを採りました。

カーリン先生は、失礼ながら、推定年齢75歳以上?とってもシャキシャキっとしていて、高いはしごもスルスルっと登り、次々と白樺の皮を剥がしては木の下にいる私たちに投げてきます。

採ったばかりの皮の表をヤスリで剥がし、平にきれいにしてから四角の箱形に折り上げてコンテナーにします。これも表裏、二枚重ねミツロウを塗った糸でステッチしたり、白樺の根を湯に浸して柔らかくしたものを縁に添えて縫ったり、好きなように仕上げます。

余った小さい皮でミニミニバスケットなども作ってみました。

*4日目

キャニスターの蓋と底を作りました。筒状のキャニスターの内側で型紙を作り平材に写して電動糸ノコでカットしたものをジャストサイズになるようヤスリがけします。

底をはめ、側面にドリルで穴を開けて木を削って作った釘を打ち込みます。

蓋も同じくサイズを合わせ、ツマミも好きな形に作ります。わたしは Outside in のドングリの形に彫ってみました。

最後の夜なので、夕食後は各クラスを回り、先生や生徒の説明付きで作品を見て回りました。

今回同時に行われていたクラスは、「台所用品の木工」「アフリカン木工」「自由刺繍」「毛皮を使った装飾品」「製本とペーパークラフト」

どのクラスもとても楽しそうで、すてきな作品が出来上がっていました。

*5日目最終日

クラスは午前中のみ。接着剤をつけて差し込んでおいたツマミの脚と釘をカットしてヤスリをかけ、全ての作業が終了。日本に帰ったら何か作りたいと思い、残った白樺の皮の苔や皮を落としました。

宿泊費、食費も含めた参加費は、
5500sek(約¥74,415)別に材料費が、
310sek(¥4,194)でした。

最後のランチには、夏至祭の時にスウェーデンの人たちが必ず食べる、ニシンの酢漬け、ディルを入れて茹でた新ジャガイモ、イチゴのケーキが出ました。

クラスの人たちと別れを惜しみ、白樺クラス終了。

夏至祭の休暇中はセテルグランタン自体もお休みになるので、隣町のレクサンドに宿泊しました。

その様子はまた次回。

(レポート K.Y Outside in)

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